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僕が住友商事を1年半で辞めた理由
人生もっと面白く、もっとハードに

豊田様メイン画像

住友商事株式会社出身

一般社団法人リディラバ

プロフィール

今回は一般社団法人リディラバの豊田健氏にお話を伺った。住友商事に入社後、南米の資源分野を担当した豊田氏は入社約1年半で退職した。彼はグローバルに活躍できる華の商社マン人生を何故捨てたのか?若き脱藩者の生き様に迫る。

“脱藩家系”の息子が商社を志した理由

豊田氏のファーストインプレッションは「あれ、商社の人っぽくないな」。力強さと穏やかさが感じられる豊田氏はなぜ商社を志したのだろうか。

「僕が商社を志したきっかけは2つあります。ひとつは父の存在です。父が大手製鋼メーカーでリビア配属になり現地で働く姿は輝いていました。そのため海外で働くことに憧れを持っていました。もうひとつは、英語とスペイン語が得意だったことです。

ちなみに現在、父は脱藩し、曾祖父の代から続く会社をやっています。だから言ってしまえば父も脱藩したんですよね。豊田家、“脱藩家系”です。すぐに家業を継ぐという選択肢はなく、巨大組織がどう動くかを実地体験したいと思っていました。」
 
こうして総合商社を志すも、絶対に行きたい「会社」は決めなかったという。

「正直、総合商社であればどこでも良かったんですが、最初に内定をくれたところに行くと決めていました。総合商社は企業によってカラーって違うと言われていると思います。自分にはどのカラーに合うかどうかなんて、僕には分かりませんでした。それなら何も飾らず普通に話してみて、向こうが合うなって思ってくれたところに行こうと決めていました。何が出来るかなんて配属が決まるまで分かりません。なので、『なぜ商社が幾つかあるうちで、うちに来たいの?』と聞かれた時は『特にない、自分が一番合うなと思ってくれるところに行きたいです』と話していました。結果、最初に内定を下さった住友商事に入社することを決めました。」

自分の人生を変える学生時代のインターン

こうして住友商事に入社を決めた豊田氏。就職活動を終えた豊田氏はインターンに参加していた。この経験は豊田氏の人生を大きく変えるきっかけとなった。

「入社まで僕はいろいろな企業でインターンをしていました。現在、僕が働くリディラバもインターン先の1つです。

リディラバのインターンでは、中学校1年生と修学旅行へ行くプログラムにファシリテーターとして参加しました。160人の中学校1年生と2泊3日の旅行に行って、一緒に社会課題からビジネスプランまで作り、プレゼンする修学旅行なんです。当時i.schoolという団体でアイディア創発やデザインシンキングのワークショップを開催していたため、この団体で学んだメソッドを生かしてみたいと考え参加しました。これがすごい面白かったんです。」

豊田氏の語りからは面白さが窺える。どのような内容だったのだろうか。

「“中学校1年生でビジネスモデルの提案までできるんだ”と自分としてもかなり衝撃を受けました。僕が参加した修学旅行の課題は『航空運賃の高さがボトルネックになって、留学出来ない人がいるのがかわいそう』というものでした。中学校1年生と僕で、短期留学で英語を勉強したい層を狙いましょうとセグメンテーションをして、その人たちのために『海外に行く代わりに京都の外国人が泊まるゲストハウスに留学して、そこで外国人の案内や旅行者との共同生活で英語を身につけましょう』というプランを作りました。

プログラムを通して、最初はそんなに活発に話さなかった生徒も、最終日にはとにかく活発に意見を言う。もっとこうしていこうみたいな感じで熱心に学習に参加している様子を見て、この修学旅行プログラムの与える影響力に感動したことを覚えています。」

こうしてリディラバに出会った豊田氏。静かに、彼のキャリアが変わり始めていた。

「結局、卒業までリディラバでインターンをしていました。その時に代表の安部から、『いつか一緒にリディラバで何かできたらいいよね、君が住友商事で海外行って南米行ったりしたときに、うちも一緒に海外に出ていけるような会社にしたい』と言われたことを覚えています。正直『飲み会のノリだろ。ほんとに実現することはないだろうな。』って、それくらいの感覚で話をしていました。」

異色の商社マン、金属資源を掘る

住友商事に新卒入社した豊田氏。住友商事では「異色」な存在だったという。

「僕は、『海外駐在を一度経験したら住友商事をやめようかな』、みたいなことを言っているタイプでした。社内に僕みたいなタイプはあんまりいなかったですね。3年離職率からわかる通り、総合商社の離職率は相当低いです。」

入社後、豊田氏は理想的なキャリアを歩みはじめた。

「僕はボリビアの鉛・亜鉛・銀を担当しました。鉛と亜鉛は、自動車のメッキに使用されますが、他の金属と比べてマーケットが小さく、他の商社は撤退していった分野なんです。そんな中、住友商事はボリビアの山に100%出資しており、めちゃくちゃ稼ぐ山を担当することができました。

部内には2つのチームがあり、(1)ボリビアの山の操業と管理を行うチームと、(2)東京でトレードを担当するチームです。僕は、東京でトレードを担当するチーム配属になりました。このチームはすごい人数が少なくて、僕が自立しないと先輩のプライベートがなくなるんじゃないかってくらい忙しかったことを覚えています。新卒1年目ながら自分の仕事の裁量権も大きく、先輩の指導も細かく充実していて満足に働くことができました。

さらに、商社の1年目の研修は学べることばかりでした。細かいビジネスマナーの基本から、財務諸表の分析や投資プロジェクトの採算性の見方までかなり密に学ぶことができました。これは業界を問わず、汎用的に生かされる知識で今も、新卒でこの研修を受けることができ本当によかったと思っています。」

こうして住友商事で活躍する豊田氏。この当時のモチベーションは何だったのか?

「仕事という1つのことに集中して、自分の知識を深めていくことに喜びを感じでいました。学生の時は、学業・遊び・複数のインターンとマルチタスクを平行していましたが、結局1つのことに責任を持てる心地はなく何か物足りなさを感じていました。

住友商事に入社してからは、自分の担当する鉛・亜鉛・銀のプロフェッショナルかつベテランの方々と信頼関係を構築していく必要がありました。ビジネスの成功のため自分の全力を注ぎ勉強し、特定分野の知識を深めていくことが楽しかったです。いまだに世界中のどこどこの山いくつかあげてくださいって言われたら、僕そこの山の名前と場所と、そこだとトンあたり銀が何グラム入っているか言えるくらいです(笑)。

またはトレード部隊という小さめのロットを扱う場所にいたので、若手のうちからやれることは多かったです。予算作りや資源価格の見通しを立てるプロジェクトにも参加させてもらえていました。飽きる間もなくいろんな業務をやらせてもらえたという点で、仕事にはすごい満足していましたね。それだけでなく、商社マン生活2、3ヶ月ぐらいの時は、ほんとに金曜と土曜の夜が足りないって思うくらいプライベートが忙しかったですね(笑)。」
 
こうして豊田氏がバリバリと働く一方、古巣のリディラバにも変化が起こっていた。

「リディラバが採用活動をスタートさせていたんです。僕も代表の安部から一緒に働かないかとアプローチを受けるようになりました。」

ボリビアの山に行くか、安定を捨てるか

こうして楽しく働いていた豊田氏に、ビックチャンスが飛び込んできた。

「2年目になって、僕がついにボリビアの山に配属されるチャンスが舞い降りてきました。高度4000mの現地で2年半働く前提となる、鉱山管理のチームへの移動が噂され出しました。日々、酸素が薄い環境で、高山病のリスクと戦いながら仕事をすることになります(笑)。危険地手当が出るような環境で仕事をすることは並大抵のことではありません。しかし、僕はそのハードさを望んで商社を選んだ人間だったので、素直に『やったあ!』と喜びました。

自分のキャリアアップに喜びを感じていたちょうどその時、リディラバが開催しているバースデーという年次の事業報告会に呼ばれました。バースデーでは、リディラバに転職してきた方、新卒入社する方とお会いすることができました。リディラバの成長を目の当たりにし、衝撃を受けたことを覚えています。

代表の安部からリディラバにオファーを受けた時は、安部に対して『俺をあんたと心中させる気なのか。事業がうまく行かなかった時に、お前は俺に心中しろって言うのか』と思いました。せっかくハードな環境で働けて、早めに海外駐在行かせてもらえて、自分が思い浮かべていた理想のキャリアを歩める商社に入った俺に対して、リディラバに行ったら待遇も絶対下がるし、バカかお前はと。しかし、『リディラバに人生かけているのは安部だけじゃない、リディラバは本質的に変わっていったんだ』と気がつくことができリディラバで僕も挑戦したいと考えるようになりました。」

豊田氏は大きな決断をする。何が豊田氏の心を動かしたのだろうか。

「リディラバにリクルートから転職してきた、50歳の大先輩とお話しすることがありました。その方はすでにご結婚をされていて奥さんと大学生の息子さんがいました。守るべきものがある方がどうしてリディラバに来る決断ができたのか僕には理解ができていませんでした。

その方は誇らしげに、『リクルートにこのままいても守りに入っちゃって面白くない。それなら社会人人生があと何年あるか分からないけど、最後の挑戦をしたいんだよね。豊田くんのように20代でどんなにチャレンジしても、キャリアのリセットボタンがあるような時にもっとチャレンジしておきたかった。』と話していました。

このお話を聞いた時、突き動かされるものがありました。商社マンとして海外や高山という過酷な環境でビジネスを完遂する経験を通してキャッシュを動かすキャリアも確かに貴重ではありますが、もっと自分に素直に自分を鍛えられる経験もあるのではないかと考えるようになりました。それに僕は結婚もしてないし子どももいないため失うものは何もなく、今自分の足元のキャッシュフローが悪化したところで、何の問題も無く挑戦するしかないと決めました。」

突然の転身に、周囲はどう反応したのか。

「転職するときもあまり引き止められませんでしたね。周囲には『リディラバは社会の課題解決のためにやっていく事業をしているところで、もちろん給料の水準も下がれば……って』話を真面目にしたら、もう本当に素直に皆さん応援してくれました。送別会もお客さんも含めかなりやってもらって、すごく円満に退社できたんです。」

商社のノウハウが十二分に発揮されるベンチャーでの働き方

ここまで豊田氏の心をつかんで離さなかったリディラバ。具体的には何を行っているのだろうか。

「リディラバのコンセプトは『社会の無関心を打破する』ということです。もっと色んな世の中の人が多くの社会課題に関心と当事者意識をもつ社会を作れば、社会のシステムとしてもっと課題が解決されると考えています。そのために、人々の関心を刺激できるような旅行やツアーを提供しています。リアルを通じて社会課題に関心をもってもらうことは、ニュースや新聞で社会課題を発信するより一人一人に与える影響が大きいと考えています。」

住友商事からは遥かに離れた業務内容が予想できる。豊田氏はここで何をしているのだろうか。

「僕は自社で情報を発信するメディアと、メディアを使って事業を拡大するプランの作成と営業、運営をメインで担当しながら並行し地方創生系の事業を行っています。

現在の仕事と商社の仕事が直結しているわけではありません。しかし、商社で学んだビジネスの基礎教養は本当に役立っています。例えば、スタートアップ界隈では営業もゆるい格好、会話もFacebookのチャットやSkypeを使うことが普通です。一方、僕は商社時代に非鉄精錬業界の日本の中でも特にトラディショナルな方々とお付き合いをさせていただきました。そこで学んだノウハウは汎用的に生かされています。また、プロジェクト投資の採算性や、財務状況や競合他社の分析という基も学ばせてもらいました。人事に怒られそうですが、商社マン時代にビジネスの基礎教養を給与付きで手に入れることができましたね(笑)。」

商社とは違うリディラバで働く面白さとは何かを問うと、豊田氏らしい答えが返ってきた。

「僕はまだ今の仕事の勝ちパターンが見えません。ここが楽しいところであり苦悩もしているところです。だから代表と社員と一緒に日々議論しながら、挑戦し失敗の繰り返しです。その産みの苦しみみたいなのはだいぶありますよね。それが、まさにそのハードなところっていうか、楽しいとこなんだと思います。」

志士へのアドバイス

脱藩を考えている志士へのアドバイスを頂いた。

「転職するリスクを過大評価する必要はないと考えてほしいです。転職する前って、転職するリスクも考えるし、お客さんや上司に何言われるんだろうとかって悩むんですよ。でもそれって絶対リスクを過大評価しているだけで、辞めようと思ったら普通に辞められます。『転職しても周りは応援してくれますよ』なんてのんきなことは言いませんけど、その過大評価が転職へのボトルネックなんじゃないのかと実感することが多々あります。

また、商社とベンチャーの両方を経験し、リディラバの事業が行き詰ることがあっても、商社にずっと居続けた奴より絶対僕の方が、その後つぶしがきく人材になっているという自信はあります。」

また、豊田氏には社会に対する強い想いがある。

「自分の経験はちっぽけなものに過ぎませんが、誰もが挑戦できる社会にしたいです。大手に行けなかったからベンチャーとか中小企業に行くっていう意志決定や人材のフローだったら、いつまで経っても社会は今のままじゃないですか。優秀な人材が今の社会を維持する側の会社に行っちゃうのってすごい面白くないし、社会の変化が起きないと思います。そうじゃなくて、もっと社会全体として挑戦を応援して欲しいですよね。例えば大企業も社員が、3年くらいどこかで挑戦して、失敗しても受け入れるし、成功したら出資を検討出来たりとか。そういう形で人とカネの流れも含めたベンチャーキャピタルみたいなことができる環境や社会作りに、もっとお金使ってほしいと、自分の希望もこめて思います。」

こうして自信を持って語ってくれた豊田氏。
彼とリディラバが目指す未来はきっと明るい。

(記事・執筆/荒木真歩)

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