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日本の教育スタイルの改革へ
試行錯誤の末見つけた、人生を賭けてやりたいこと

岩田氏メイン画像

ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)出身

株式会社a.school(エイスクール)代表

プロフィール

岩田拓真氏は小中高生の「学ぶ意欲」「学び続ける力」「創造性」を育む、新しい形の教育を提供する学習塾、a.schoolを運営する。そんな彼の、大学時代から起業し現在に至るまでの話を伺った。

どん底をみることで発見できたこと

好きなことだけ貪欲に、順調な大学ライフを送った岩田氏。一年発起し就活を始めたところ、なんと全滅だったという。

「京都大学総合人間科学部という、文理融合型の学部に所属していました。私はかなり飽きっぽい性格で、大学生活はありとあらゆることに挑戦しましたね(笑)。学問はもちろん、3ヶ月だけバンドを結成したり、障害者の子どもの支援活動に参加したり、学生新聞の作成、日本に来ている外国人や留学生向けの京都文化博覧会という日本文化を体感してもらう大型イベントの運営も行いました。とにかく興味があることにはとことん挑戦しました。

それまではずっと脳神経科学の研究者になりたいと思っていたのですが、大学4年生の春、ふと社会に出たいという気持ちが湧いてきて、ちょっと遅めの就職活動をしました。準備も何もしないまま就職活動したら、なんと全滅でした。『京大だから、今から就職しても、色々活動してきたし、受かるだろう』と調子に乗っていたら、結果は全滅。研究室の先生には研究室を出ると言ってしまったし、就職先も見つからず、途方にくれました。全滅後の5、6月頃、初めて本気でやばいと思いこれまでの自分と向き合いました。自分は何者なのか、何をしたいのか必死に考え直した時に、漠然と『科学(サイエンス)・技術(テクノロジー)と社会を繋ぎたい』という目標が見えてきました。」

全滅だった就活。そこで見つけた新たな目標。岩田氏は、これまでに味わったことのない挫折が自分と向き合う契機となった。

自分の目標を追いかけ始めて

『科学・技術と社会を繋ぎたい』という目標を果たすため、岩田氏は、東京大学院技術経営戦略専攻(Technology Management Innovation、以下TMI)に進学し、工学を専攻した。また、イノベーション創出の方法論について学ぶことができる東京大学i.schoolも受講した。自分と向き合い、見つけた目標、新たな道から何を得たのだろうか。

「TMIでは、メーカーの技術や製品をどうやって世の中に広めるか、技術戦略やイノベーションをどう扱うか学びました。ここの大きな特徴は、ほとんどが講義型ではなく実践型の授業であることで、与えられたテーマに対して昼夜も忘れグループディスカッションをして自分たちなりの答えを出すということの繰り返しでした。授業形式もそうですし、学問としても、科学・技術と社会を繋げることに関心が出てきていた僕にぴったりでした。

その時、同時並行で通っていたi.schoolとは、innovation schoolの略です。ここでは特に、人間・社会視点でのイノベーションについて、実践者としてのスキルやマインドセットを学びました。TMI とi.schoolをセット学ぶことで重層的にイノベーションについて学ぶことができたと感じています。

さらに、大学院時代は、ベンチャーキャピタルと、途上国の支援をする財団でそれぞれ1年間ずつインターンをしました。ベンチャーキャピタルでは、大学の技術を発掘して事業化する方法を、途上国の支援をする財団では、既にある技術やサービス、テクノロジーをどのように途上国に活かすべきかを、実践を通じて学びました。大学院に入って、ようやく自分がやりたいことや得意なことが具体的に見えてきました。自分の目標が明確になり、進むべき道が見えたんです。」

将来のために、自分を磨き、地力をつけるための道

ファーストキャリアは、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)でコンサルタントとして働くことを選んだ岩田氏。深夜12時過ぎまで働くのは当たり前、という激務環境に置かれることになったという。いろいろな経験を経た上でこの職種を選んだのはなぜだろうか。

「インターン先の会社は、経験や即戦力が求められる世界で、新卒の採用がありませんでした。そこで、地力をつけることを第一にファーストキャリアを考え、内定をいただいた複数のコンサルティング会社の中から行きたい会社を絞りました。僕は数学をはじめとしてとにかく考えることが大好きで、そういった力やコミュニケーション力を評価されたようです。自分の今まで探ってきた方向性・目指している目標とも合致するし、まずは数年間頑張ることを決めました。

『科学・技術と社会を繋ぎたい』という目標に向けて、経営全般のスキルを身に付け、自分を高める時期にしようと決めたんです。難題について考えぬく楽しさや、困っている人をサポートすることはとてもやりがいがあり、コンサルティングの業務は自分に合っていました。1度だけ体調を崩したことはありましたが、きついと思ったことはありませんでした。」

2つの本業。目標を追いかけ続けた毎日

「実は、会社に新卒入社するのとほぼ同じ時期に、大学院時代に出会ったi.schoolの仲間と一緒にNPO法人Motivation Makerを作りました。i.schoolの授業でモチベーションを育む教育に可能性を感じたことがきっかけです。子どもの独創性や長所を育む教育が、もっと世の中に増えたらいいなという思いでNPOを作りました。平日5日はBCGで働いて、土曜日にNPOの活動をし、日曜日は全力で遊ぶ生活を3年半続けていましたね。

そのNPOの活動の中で、だんだんと教育の本質的課題に目が向いてゆき、本格的に事業で取り組みたいなと思うようになり、起業を意識し始めました。BCGの毎日は本当に楽しく何の不満もありませんでしたが、社会人の基礎となる実力は3年でついたと実感していました。コンサルは普通のサラリーマンの3倍くらい濃密さがあると言われることもありますが、確かにそれ相応の実力はついた感覚があり、ステップアップのタイミングを感じました。」

自分が本気なら誰もが応援してくれる起業

岩田氏は起業を決意する。どんな思いで起業を決意し、どんな行動をとったのだろうか。

「どっちの人生が面白いか、死ぬ時に後悔がないかを考えました。コンサルタントとしての道を極めるか、教育の課題解決のために尽力するか。どちらも非常にやりがいがあったので、どちらの人生を歩んだほうが後悔しないかという軸で決めました。」

脱藩において避けては通れない辞職。勤め先に辞めると告げることは、精神的負担が大きい。岩田氏はどのようにして会社を辞めたのだろう。

「BCGはキャリアアップのための退職を応援してくれる環境でした。ただ、役員には『まだ早い、考えが甘いから考えなおしてこい』と何度も止められましたね。辞職は精神的負担も大きいので、誰にも言わずにさらっと辞める人も多いですが、僕は少しでもお世話になった人全員に挨拶しにいきました。自分の心を試すのにもいい機会だし、役員10人説得して辞めたら、自分でも本当にこれがやりたいのだと明確になるかなと考えたんです。

そこで全員に自分のビジネスプランを説明し、やりたいことを語りました。何度も『考えが甘い』と突き返され、結局辞めるのに3、4ヶ月かかりました。でもこれは、非常にいい辞め方だったと思います。この機会を通じて、改めて自分と向き合えたし、ビジネスモデルをブラッシュアップすることが出来ました。」

前職に後ろめたい気持ちを残さないことは、脱藩する上で非常に大切なことだろう。自分にも、会社にも、正直に向きあうことで得られるものは大きいようだ。

これが起業スタイル

華やかに見聞きされがちな起業も、見えない努力の積み重ねである。課題は山のようにあり、全てこなさなければならない。

「起業といってもスタッフ2人と、大学生インターンの小規模な会社ので、マネージメントをしているというより、個人事業主に近いです。色んな人の支えあってのa.schoolではありますが、税理士とのやりとりや日々の経理、保険など、僕もかなりのバックオフィス業務を自分でやっています。この点は、思っていた以上に地味な作業がいっぱいあるなと思いました。ただ、NPOを通じて1つの組織の運営プロセスは分かっていたので、イメージとのギャップはそこまでありませんでした。ただ、活動に対する気持ちは大きく変化しましたね。本業として、自分の人生をかけているため本気さが違います。」

これまの経験を生かし、日々邁進している岩田氏。しかし、意外なところで苦労があると語る。

「実は、営業に苦労しているんです。素晴らしいアイデアや商品があっても、売れないと始まりません。私たちは、プログラム(商品)を作るのは得意だし、バックも経営もそれなりに出来ます。しかし、商品を売る営業に関してはメンバー内に経験者がいなかったので一から勉強し手探りに進めています。ここはかなり苦戦している部分ですね。」

学生時代に持った『科学・技術と社会を繋ぎたい』という漠然とした目標は、より強くなり、今では明確な軸があるという。

「a.schoolのCEOとして、義務感からくる学びではなく、面白さや好奇心からくる自立型、探究・創造型の学びを増やしていくことが現在の目標です。塾の教室自体も増やしていきたいし、学校や塾へのアイデア・ノウハウの提供やビジネス支援も考えています。学びをもっと楽しくしたいという軸は明確で、まだまだ出来ることもたくさんあります。自分を飽きさせず、いろんなことにチャレンジして、社会の中で1つの大きな動きに繋げていきたいです。」

ゼロイチだけが全てじゃない

脱藩者へメッセージ

最後に起業や転職に悩みを抱える脱藩者へアドバイスを語ってくれた。

「とにかくやってみることです。転職して何かやりたいと思ったら、まずはその分野を、僕のように土日に試してみてはどうでしょうか。門を叩けば手伝わせてくれるところは意外とあります。副業禁止と言われていても、ボランティアと言って会社以外の時間を使ってやるのだったら、問題ありません。言い訳に逃げがちですが、勤めながらでもできる事はいっぱいありますよ。

考えて何もしないより、やってみることですね。それで、新しい世界に可能性を感じたのなら、挑戦すればいいんです。まだ悩んでいるのなら、その時点で本当にやりたいことは違うということを意味しているのではないでしょうか。やるという選択肢を取り、行動に移せる人は意外と少ないと実感しています。ただ、どのような形でも、行動に移してみると見えてくることがある。ゼロイチで考え過ぎず、まず実行してみることをお勧めします。」

(取材・記事/新見祐加)

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